今年の新年は、生まれ育った涙が出るほどに(年を重ねると妙に感傷的になる)なつかしくいとおしい実家の六畳間だ。欄間も柱も昔のままだ。
ずいぶん老いてきた父が日の丸をかかげる。
きれいに履き清められた玄関から新しい風が吹き込んでくる。
(父の儀式だ。寒い冬の朝でも、一度縁側の引き戸を全開にして外の空気を引き入れる。
子供の頃はふとんを頭からかぶり「なんで日曜の朝なのに・・・」と文句を言ったものだが、今になると実に気持ちがいい)
たった一日しか違わないのに全然違う特別な元旦の始まりだ。
暮れに父の父の33回忌と、母の父の50回忌。さらに母の母のほぼ17回忌を二日にわたってまとめて終えたこともあり、実に清々した新年の幕開けだ。
なんとも空は青に澄みわたり、ほんのり暖かい。
僕の心もそのままだ。
記憶の中に鮮明に行きつづけている祖父祖母たちも、きっと笑顔で見守ってくれているだろう。