「緊急避難準備区域」広野町。
あいまいな設定だ。福島第一原発から20Km~30Km。
避難を強制しないとはいえ、人口の5%しか残っていない。
町の僕の大学の同級生は、ずっと住み慣れた家に居る。
放射線量計を買い、毎日家の周りを計測しながら静かに抵抗を続けている。
店も閉まっているので、40分もかけ夕食のおかずを用意してくれ、二人で暗く静けさに包まれた生活感のまったくない町の一角で酒を飲み交わした。
ちょうどこの日、双葉町、大熊町の一部の方が原発事故の避難以来初めての一時帰宅が2時間だけ許され、その姿を町の体育館から見送った。
白い防護服姿。こわばった不安そうな表情・・・。悲しみと怒りが込み上げて来る。