【 祇園でライブ❗ 】 〜 いい響きやなあー 〜
京都、祇園は憧れでした。“ 月は朧に 東山〜” “やさしい雨の 祇園町 ” 鴨川〜南座〜歌舞練場〜八坂さん〜知恩院〜白川新橋〜舞妓さん〜 御茶屋〜 一見さんお断り… 敷居の高い、近寄りがたい別世界の、落ち着いた大人の香りがした。一度だけ、お仕事でご一緒させていただいた俳優の松山英太郎さんに御茶屋さんに連れて行ってもらったことがあった。めくるめく竜宮城のような夢の世界で、お金持ちの大人の男の人はこんなところで楽しい時間を過ごすのかと、驚きと羨望と怖れとで舞い上がってしまいあまり覚えていない。日本はバブルの真っ只中だった。
この『ギャザー』のマスター山ちゃんとは、僕が初めて仕事で京都に来て嵐山に部屋を借りたときにお世話になった喫茶『ヤマムラ』のマスターです。32年の付き合いなります。その当時彼は京都フォーク村の村長をしていました。いろいろあり、体を壊し、今はギターは弾けませんが、いつまでも僕のことを応援してくれて、時々僕もこの店で歌わせてもらうのです。25人で一杯になる祇園の小さな店で、今夜も昔の仲間たちとしみじみと酒を酌み交わし、昔話を思い出し、熱い時間を過ごしました。ママさんによると、祇園の昔馴染みのお店はすっかり人が少なくなって、賑わっているのは昼間の外国人観光客と、およそ祇園とは似つかわしくない品のないお店ばっかりだそうです。寂しいなぁ。日本の情緒や文化が廃れていく。〈 そんなにしてまで外国からのお客さんを迎えなければいけないんだろうが? 〉〈何百万人来た! 一人何十万円も使った! どこが恩恵を受けてるんだろうか?〉〈失うもの、取り返しのつかないもの、一時的なことで大変な思いをしている人たちがいるはずです〉〈観光立国をスローガンにすることで、根本的な日本を支える大事なものをないがしろにしてはいないだろうか?〉味のある日本家屋の古い町並みがビルに変わっていた… 落ち着いた由緒ある〝ホテル祇園〟が〝アパホテル〟にすり替わっていた…
そのうちに日本の美しい街並みや自然の風景が消えていくのだろうか… 。日本人の心情、侘び寂び、風流、思いやり、助け合う心、デリカシーも消えてなくなっていくのだろうか…