すべての予定を終え、夜の高速道路に入る。
日本海周りのせいでもないだろう、やけに車が少ない。
10日間出逢った人々の顔が頭をよぎる。
あの人はこれからどうするだろうか?
あの人は大丈夫だろうか?
どこで再出発するだろうか?
バラバラになった家族はいつ一緒に住めるだろうか?
いろいろなことを考えると頭は冴え、心地良い疲れは体を包むが不思議と眠気は訪れない。
節電で暗くなった高速道路の遠い先を走る車のテールランプがかすかな希望の光に見える。
今はまだ光はたよりなく小さいけれど、これから日を追うごとにその光は明るく大きくなってゆくだろう。あの出逢った人たちのそれぞれの立場の人の表情を見ていたら、そう思えるようになった。
新潟に入り雨がフロントガラスを濡らす。
ニュースが東北地方に遅い梅雨が訪れたことを告げた。
無事帰宅することを誓ってアクセルをゆるめた。