京の都と近江の国境にある[逢坂山]に鎮座する【関蝉丸神社】は882年に創建され、上社に猿田彦命、下社に豊玉姫命を祀ってある。琵琶の名手で歌人の[蝉丸法師]は両社にに合祀されている。『これやこの 行くも帰るも別れては 知るも知らぬも 逢坂の関』と小倉百人一首に詠まれた歌はあまりにも有名である。(もともとは、“行くも帰るも 別れつつ… ”と詠まれた)歌舞音曲・芸能の祖神は江戸時代諸国の芸人を統括していたことから、この神社から免許を受け、【御巻物】をいただくことで、身元や営業を保証されていたと言う。
《デビュー36年目に僕もやっとその免許をいただくことができました》。今も芸能関係者の方もちょくちょくお参りに来られてるそうですが、社殿などが老朽化し維持するのも大変だということで、地元の皆さんが力を合わせてこの第1回目の芸能祭が開催されたと言うことです。僕もその前の道は何百回と通っているのですが全く気がつきませんでした。かわいい京阪電車が鳥居のすぐ前を通り、小さな森に囲まれたのどかな雰囲気の神社です。雨の心配もあったのですが、この日はとても気持ちの良いすばらしい晴天に恵まれ、境内いっぱいあふれんばかりのお客様で賑わいました。重要無形文化財の方や世界的に活躍している方から、江州音頭、大津絵踊りなど地元芸能を広めている方や、十二単装着実演、百人一首、詩吟、箏、尺八、筑前琵琶…昔懐かしい紙芝居、南京玉すだれ、チンドン屋なども登場し、まあ~色とりどりの賑やかな出演者で、5月最後の一日をすっかり堪能しました。これからも町衆の力と賛同してくださる応援の方やお客様のお力添えでこの蝉丸神社芸能祭を始め滋賀県のお祭りや伝統芸能・文化の催しも盛り上がっていくでしょう。近江の国はまだまだ知られざる宝物がいっぱい眠っています。